2020年1月1日よりワシントン州において、競業避止に関する法律(修正ワシントン州法典(RCW)49.62 条 Noncompetition Covenants – 競業避止条項)が施行されます。同法に基づき、雇用主には、労働者に対して競業避止義務の履行を求める場合に、一定の制限が設けられます。競業避止条項・契約には、合法な職業、取引または他の事業への従事を禁止・制限することを規定した、従業員または独立請負業者(independent contractor)との書面または口頭による誓約や契約が含まれます。
【制限事項】
新法に基づき、以下の制限が適用されます。
- 競業避止義務の履行を求める雇用主から従業員に付与される年間給与額が 100,000ドル超であること。独立請負業者(independent contractor)の場合は、250,000ドル超であること。これら基準額は、物価上昇に合わせて労働産業局により毎年調整される。
- 契約終了から18ヵ月間を超える競業避止期間は、不合理であり、強制力がないと見做される。但し、雇用主が 自己の事業または信用(のれん。Goodwill)を保護するために必要と証明する場合を除く。
- 雇用主は、求職者が内定(job offer)を受ける前に、競業避止条項を書面で開示すること。
- 雇用主は、雇用開始後に競業避止義務を課す場合は、当該義務に対する独立した対価を提示すること。
- 雇用主の都合により解雇する場合(layoff)、従業員の基本給から次の雇用先での給与を差し引いた額を、競業避止期間中 付与すること。
- ワシントン州を拠点とする従業員または独立請負業者に対し、競業避止条項について州外での裁定を求める規定は、無効であり、強制力がないこと。
【適用除外】
以下の契約は、同法が対象とする「競業避止条項・契約」(noncompetition covenant)には含まれません。
- 勧誘禁止契約
- 機密保持契約
- 営業秘密もしくは発明の使用または開示を禁じる契約
- 事業の信用(のれん。Goodwill)または所有権の取得もしくは処分に関する契約
- フランチャイズ加盟店による契約。但し、フランチャイズの売買について、ワシントン州法(RCW 19.100.020(1))に基づく登録が完了または免除された場合に限る。
【従業員の副業】
雇用主は、給与額が州の最低賃金の2倍未満の従業員に対して、副業または自営業を制限・禁止することはできません。但し、従業員の副業または自営業が、安全のリスクを伴う場合、または、雇用主における合理的かつ通常のスケジュールを妨げる場合は、この限りではありません。
なお、新法における副業・自営業に関する規定は、コモン・ローに基づく忠実義務や利益相反といった、従業員の雇用主に対する既存の義務を変更するものではありません。
【違反および救済】
雇用主が競業避止に関する法律に違反した場合、対象の労働者に対して、実際の損害額か、5,000 ドルの法定損害賠償額のいずれか多い方に加えて、弁護士料金、諸経費および訴訟手続費用を支払う必要があります。
【適用範囲】
競業避止に関する法律は、訴因の発生時期にかかわらず、2020 年 1 月 1 日以降に開始した訴訟に適用されます。2020 年 1 月 1 日より前に締結された競業避止契約については、雇用主が違法な競業避止義務の履行を求めない限り、責任を追及することはできません。
【奨励されるアクション】
雇用主には、締結済みの競業避止契約が、新法に準ずる内容であることを確認することが勧められます。また、競業避止条項・契約の雛形がある場合、新法の規定に合致するよう改定することが奨励されます。
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